ブルース・リーの『グリーン・ホーネット』オーディション動画(日本語訳あり)

2019年3月13日

香港では6歳から映画に出演し、俳優としてのキャリアを積んでいたブルース・リーですが、アメリカでの出世作となったのは、何と言っても『グリーン・ホーネット』のテレビ版です。

ブルース・リーが演じた助手のカトー(Kato)役のイメージが鮮烈だったゆえに、有名な日本人に「ブルース・リー」をあげるアメリカ人も多いんだとか。

そんなチャンスをつかんだ「グリーン・ホーネット」のオーディションを受けた際の貴重な映像をご覧下さい。

 

『グリーン・ホーネット』オーディション動画

審査員:ブルース。カメラを見て名前と年齢、出身地を教えて。

ブルース・リー:姓はリー、ブルース・リーです。
1940年にサンフランシスコで生まれました。24歳です。

審査員:香港で映画に出演したことがあるんだね?

ブルース・リー:はい、6歳から映画に出演していました。

審査員:香港を離れたのはいつ?

ブルース・リー:1959年、18歳の時でした。

審査員:なるほど。では私を見て話をしてくれ、ブルース。
君は息子が生まれたばかりだそうだね。

ブルース・リー:ええ。

審査員:ちょっと睡眠不足かな。

ブルース・リー:3晩です。

審査員:香港では何時に撮影をするか、スタッフに説明してくれ。

ブルース・リー:大体は早朝ですね。香港の日常は騒々しいので……300万人もいますから。
いつも夜中の12時頃から早朝5時ぐらいまで撮影します。

審査員:なるほど、それが香港の人のやり方なんだね。
アメリカでは大学に進学したのかい?

ブルース・リー:はい。

審査員:何を専攻したのかな?

ブルース・リー:哲学です。

審査員:分かった。君は空手と柔術は最も威力がある、あるいは最強の東洋武術では内と私に言ったね?
では、最も威力がある最強の武術は何?

ブルース・リー:そうですね、最強と言うのは適切ではないかもしれませんが、私の考えではカンフーは優れていると思います。

審査員:カンフーについて話してもらえるかな。

ブルース・リー:カンフーは中国で発祥した武術で空手や柔術の祖です。
比較的完成されたシステムで流れるような――つまり、流動的で動作の一貫性がある。
1つ2つのアクションをして停止するようなものではありません。

審査員:カメラを見て、コップ1杯の水を例にカンフーの奥義を説明してくれる?

ブルース・リー:コップ1杯の水でカンフーの本質を言い表すのは非常に適切です。
なぜかというと、水は世の中で最も柔軟な物質ですが、最も堅い物をうがつこともできます。
石や、思いつく物は花崗岩でも何でも。
でも水は実質的な物ではない。つまりつかみどころのない物です。
水に打撃を与えたり傷つけることはできません。
だから、どんなカンフーもこの境地を目指しているのです。
水のように柔軟で変幻自在であり、相手によっていかようにも変化できる境地です。

審査員:なるほど。カンフーと空手の攻撃はどう違うのかな?

ブルース・リー:空手の攻撃は鉄の棒のように“ダン”と来る。
カンフーの攻撃は鉄球をつないだ鉄鎖に例えられるでしょう。
打撃によって受けるのは内傷です。

審査員:OK。では、ここでちょっとカメラを止めて、あとでカンフーのアクションを見せてもらおう。

ブルース・リー:分かりました。

審査員:カット!

 

オーディション第2部、テイク1

審査員:まっすぐカメラを見て、ブルース。
じっと見て。それから、こっちへ頭を4分の3回転させて…、止まって。
真横を向いて、横顔を見たいんだ。そのままの姿勢で。
反対側の横顔を見せて。そのままで。
こっちへ4分の3回転させて。
もう一度、まっすぐカメラを見て。
じゃあ、今度はカメラを引くよ。
ブルース、中国の伝統劇のアクションを見せてくれ。

ブルース・リー:中国の伝統劇ですか。

審査員:分かるだろ? さっきオフィスで話してたやつだ。
どんな動きをするのか、動き始めはどうなのかをね。

ブルース・リー:中国の伝統劇には武生(立ち回りの多い役)、文生(歌や芝居の多い役)があります。
武生の歩き方はこんなふうです。
この方向にまっすぐ蹴り出し前に出る。
膝を曲げて、伸ばし、また前に出る。
それから伝統的な文生は比較的女性的で、弱々しく、チャールズ・アトラスのCMの90ポンドのように…。
歩き方も女性のようです。形はこんなふうにまっすぐに。

審査員:つまり歩き方を見れば、すぐに区別がつくんだね?

ブルース・リー:そうです。役柄が分かります。

審査員:では、今度はカンフーのアクションを見せてもらおう。

ブルース・リー:1人で見せるのは難しいんですが、できる限りやってみます。

審査員:分かった。じゃあ、相手をつけよう。

ブルース・リー:それは何よりだ。

スタッフ:行けよ。頑張れ、リンカーン。

ブルース・リー:不慮の事故が起きないと保証はできませんよ、分かりますよね。
攻撃にはいくつものスタイルがあります。あなたが攻撃したい場所によって、何を武器とするかも変わります。
目を攻撃する場合は指を使います。

大丈夫、手加減します。
目を攻撃する。あるいは直接顔を攻撃する。腰から拳を出し…上に攻撃する。

審査員:ちょっと待って、相手の位置を変えたい。君がカメラに向かう形にしたいんだ。そう、それでいい。

ブルース・リー:それから肘を曲げての攻撃。腰の間から出力し、手の甲で打つ。

審査員:ベイカーさんをもう少し下がらせよう。万一に備えてね。OK、続けて。

ブルース・リー:それから、当然ですがカンフーはとても臨機応変なもので、中国人は相手の弱点を攻撃するのを好みます。
上段を攻撃すると見せて、急所を打つ。

心配しないで。

審査員:向きを変えてもらえるかな、ブルース。

ブルース・リー:いいですよ。これでいいですか?

ベイカー:自然に反応しちゃうんだよ。

ブルース・リー:そうですよね。自然な反応です。

審査員:カメラに向かって。顔をもう少しカメラに向けて、もう一度やって見せてくれ。

ブルース・リー:分かりました。
こでは指で突く攻撃。これがパンチ。これがバックハンド、それに下半身への攻撃。
もちろん脚を使うこともできます。
急所への攻撃、あるいは上段、または1歩下がっておいて、こんなふうに蹴ることもできる。
そして元の位置に戻る。
彼は、とても緊張しているようですね。

審査員:心配するな。もう一度見せてくれ。カンフー家がカッコよく相手を片づけて、その場を去るまでを演じてみて欲しい。

スタッフ:カット!

ベイカー:音声は?

スタッフ:大丈夫だ。

 

オーディション第2部。テイク2

審査員:これなら君のアクションをはっきり見ることができる。今度は君1人だからね。
違いを説明してくれ。柔術は攻撃の時間が比較的長い。速攻のカンフーと比べて敵に向かう際の違いは?

ブルース・リー:そうですね、例えば本や雑誌で見るように人に胸ぐらを捕まれた時は、こうして、こうして、こうして……。攻撃には千ものステップがあるんです。
もちろん、この手の雑誌は「敵に畏敬の念を抱け」「同胞に敬意を抱かせろ」という類いのことを教えています。でもカンフーの場合は動作が非常に速く、人に手を捕まれたらいくつもの動きをしなくても、すぐに足を踏めば、敵は手を放します。これが私たちが言う、「単純=力」ということです。攻撃も同じで、最小の動作を基本とするべきです。直接、効果を発揮する一手を打つべきなのです。1つの動作で敵は倒れる。より優雅に。「ああー」と叫ぶながら跳んだりはねたりするのではなく「Duattu!」これだけです。
失礼しました。

審査員:じゃあ、次は君のカンフーの形を見せてもらえるかな。

ブルース・リー:はい。カンフーは1人でもパイロットと一緒にでも練習できます。
1人で練習するのは形です。
鶴やサル、カマキリなどを模倣した形があります。これは鶴の形。こう始める。
(一連のアクションがあって)これが1つの形の動作です。

審査員:もう1つ見せてもらって終わりにしよう。

ブルース・リー:OK、そう聞いて、とてもうれしいです。
これは虎の形。虎の形態から始めて、爪で顔をつかむ。
あるいは鶴のくちばしで目を突く。
これも形の動作の1つです。

審査員:どうも、ありがとう。

ブルース・リー:こちらこそ。

 


座って放している時、「あっちむけこっちむけ」と要求されている時には、照れや若干の落ちつかなさを見せまいとするかのような、若干の不遜さのようなものも感じられるブルース・リーですが、実際に動き出すと“水を得た魚”ですね。
洗練された動きと自信を持って話す口調に魅了されます。

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